西日本鉄道は、西鉄天神大牟田線の試験場前駅(福岡県久留米市)について、2024年3月に最寄りの医療機関名を冠した駅名称「聖マリア病院前駅」に変更します。
「試験場」はとうの昔にこの地からなくなり…
試験場前駅は、西鉄の前身である九州鉄道が1933年(昭和8年)に開業した約90年の歴史を持つ駅です。花畑駅周辺の連続立体交差事業により2004年(平成16年)に高架駅となり、筑後市方面からの路線バスとの交通結節機能も担っています。普通列車のみ停車する駅ですが、通勤・通学や通院などで日頃から1日あたり約2,900人の利用者があるとのことです。
「試験場」の名称は、1925年(大正14年)に開設された「久留米工業試験場」に由来します。地元産業の育成や支援、技術向上を目的として福岡県が設立した施設で、筑紫野市の福岡工業試験場(現在の福岡県工業技術センター)に統合される1978年(昭和53年)まで駅前に立地していました。移転から約45年間が経過し、存在を知る人も少なくなったかつての施設が駅名にそのまま残っていたわけです。
ちなみに、筑後エリアにお住まいの方に馴染みのある「筑後自動車運転免許試験場」は約10km南の筑後市にあり、最寄り駅はJR鹿児島本線の羽犬塚駅です。ややこしい話ですが、この免許試験場に向かう路線バスに試験場前駅で乗り換えることができるため、駅名に関係していると思い込んでいる方もいるかも知れません。
(試験場前駅の概要、聖マリア病院の概要と主な沿革、周辺エリアの路線図など詳細は下の図表を参照)
駅名変更は病院からのリクエスト
新駅名の「聖マリア病院」は、駅から徒歩5分の久留米市津福本町にあり、開設は1953年(昭和28年)です。市内だけでなく筑後・佐賀エリアの地域医療を支援し、救命救急センターや周産期母子医療センター、災害の拠点病院としての機能も有しています。災害派遣や国際協力活動も行っており、公共性・公益性の高い医療機関であることが駅名に採用された理由の一つとされています。
駅名変更は病院からの要望を受けて実現したもので、西鉄は駅名変更によってわかりやすさの改善を図ります。天神大牟田線の雑餉隈駅〜春日原駅間に整備を進めている「桜並木駅」の開業に合わせ、2024年3月から新駅名となります。駅前にある西鉄バス「試験場前」についても同時に名称変更される予定です。
病院を運営する社会医療法人「雪の聖母会」の理事長・井手義雄さんは、「『聖マリア病院』の名が駅名に採用されたこと、心からうれしく思います。開設から70年、この地に根を張り医療に従事してきましたが、今回の駅名変更はその結び付きをさらに強固にするものと信じます」とコメントしています。
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